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人とつながる人数は多ければ多いほど良い は間違い

投稿日:2019年12月19日 更新日:

・異業種交流会やイベントへ多く参加するのは意味が無い

人脈作りの方法として、多くのイベント、交流会、座談会、懇談会等への参加を思い浮かべますが、それが実際にとても役に立っていると感じたことが私はありません。(もちろん無価値とは思いませんが)

その理由(あまり役に立たない)を裏付ける研究がありましたので、以下に紹介します。

アメリカのボストン大学の研究で、「成績の良い社会人」と「成績の悪い社会人」の人脈作りについて調べました。

約4万人もの新社会人を対象に、4年以上にわたり追跡調査を行いました。毎月、全員の人脈のサイズ(広さ)と仕事ぶりのチェックを行い、仕事の成果が上がっている人と、そうでない人の違いを調査しました。その調査母数の多さや長期間の調査であることを考えると、とても精度の高い調査研究と思います。

その結果、異業種交流会や社外、社内のイベントに積極的に参加する回数など、人脈作りにおいて効果的と考えられていた行動の多くが、仕事の成果と無関係であることが分かりました。

研究結果から見えてきたのは、イベント等への参加回数よりも、その場で交わした会話の内容や、その後の関係性の維持の方法が、仕事の成果につながっていくという傾向がありました。

 

・人脈作りは数ではなく質が大切

先の研究で、成果を挙げて出世した人たちの共通点が3点ありました

まず、成績の良い新社会人も、成績の悪い新社会人も会合やイベントに参加していたのですが、

1,成績の良い新社会人は、出会った相手に多くの質問を行い、相手の要望や興味を引き出した上で、自分がその人に提供できる有形無形のものを提示する傾向がありました。

人脈作りが上手い人は、多くの人と交流できる場に出ているように思えますが、イベント事に参加している事自体に意味があるのではなく、それらの参加の仕方に特徴があるということです。

成績の良い新社会人は、イベント会場で出会った相手と話をする時に、自らを売り込むようなトークをしません。

まず、質問を重ね、相手にこのイベントへの参加の動機や、どんな事を望んでいるか等、人となりを引き出した上で、自分がその人に提供できる事を伝えていたのです。

逆に成績の悪い新社会人は、自分の立場や興味、何がしたいか、どんな会社に属しているか等、まず自分語りが先行してしまい、それが相手の興味や要望と重ならない為、名刺交換レベル以上の関係性の構築に進みません。

飲食店で例えると、相手の注文を聞かずして、自分の店都合で勝手に料理を出すようなものです。料理のオーダー前に料理を出すなんてありえないですよね。それぐらい自分語りには意味が無いといえます。

一方、相手に質問を投げかけ、自分が相手に出来る事を提示するスタイルを取っていると相手は、「この人は私にとって役に立つかも」、「色々私の立場になって話を聞いてくれるので嬉しい」といった印象を受け、その後の関係性の継続に繋がります。

このようにして、有効な人脈が広がり、それが仕事にも良い影響を及ぼしているのです。また、質問を重ねる事で場数を踏み、会話における質問力や交渉力も高められます。

2,成績の良い新社会人は、自分の部署の組織のリーダーとは強い関係を結ばず、特定のメンター(助言者)を持たない傾向がありました。

その代わりに、自分が所属する部署のオピニオンリーダー(その組織で強い影響力のある人)を探して、積極的に関わろうとする傾向がありました。

ここでのポイントは2つです。

1つ目は上司との関係性です。

「仕事の相談相手はいつも直属の上司」「上司からの飲み会の誘いは断らない」等、上司との親密とも言える関係性は、考え方の価値観やパターンが似てしまい、本人の成長を妨げてしまう傾向があります。

2つ目は、仕事の指導役である先輩や、学生時代の恩師など、特定のメンターとの関係性です。

これも上司との関係と同じく、メンターに依存する形になってしまうと、本院の成長が遅くなる傾向がありました。

その一方で、成績の良い新社会人たちは、組織の部署の垣根や社内外の垣根の隔たりを越えて、成果を出しているオピニオンリーダー(その仕事のノウハウを最も蓄積している人)を捕まえて、積極的にコミュニケートしていました。

ただし、オピニオンリーダーの思考パターンや技術をまるまる模倣するのではなく、自分の環境に合ったものにアップデート出来ることが理想です。

相手の地位、財力、権力等、目に見える能力ではなく、その人の物事の考え方と技術に注視して人脈作りを行う姿勢を持つことで、いち早く自分の成長につなげることが出来るのです。

3,成績の良い新社会人は、2~4年毎に人脈づくりの手法を変化させる傾向がありました。

まず初めは同僚と親密な関係を築き、協力し合う事によって仕事の作業量を20%前後減らすことに成功しています。その後、彼らは会社から飛び出し、『同じ価値観を持っているが、畑違いの分野の人たち』との交流を目指すようになります。

いつも変わらないメンバーの集まりも悪くは無いのですが、成績の良い結果を出している若手は定期的に目新しい場所に自分を置くようにしています。

同じやり方で人脈作りを続けるのではなく、変えていく・・・

言い換えれば、ずっと同じ人と付き合っていると成果も頭打ちになる、ということです。

このように質の高い人脈作りを実践している新社会人は、最短約9ヶ月で出世し、3つの共通点のいずれも実践しない新社会人は、次の役職に上がるまでに最長4年かかったというデータもあります。

このような質の高い人脈づくりは、本人の能力を高めるだけでなく、出世のチャンスも多く巡ってくる効果があるのです。

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