・魅力がなければ人は集まらない?ーいいえ、人脈づくりは技術ですー
私達は学生時代を含め、「内向的であるのはあまり好ましくない」という一般的な価値観にさらされています。
自分は内向的だと自覚のある人は、親や先生、先輩や外交的な友人等、何度もしたり顔で「もっと人見知りせず、外交的になりなさい。そうすれば友達が増えるよ(契約が取れるよ)」とアドバイスされた経験があると思います。
しかし、人脈作りに大切なことは、もともと外交的な性格や、人を惹きつける外見、容姿ではありません。
人見知り、内向的、コミュ障、全部自覚していても、きちんとテクニックを身につければ、他の人との関係状況は良くなっていきます。
アメリカのペンシルベニア大学での研究の一つに、内向的なリーダーと外向的なリーダーのうち、どちらがその組織(チーム)に肯定的な良い作用を及ばすかを実験した研究があります。
その検証結果は、外交的なリーダーよりも、内向的なリーダーの方が良い結果をもたらすことが分かりました。
なぜなら、外交的なリーダーは、本人が気づかないうちに、全てを自己采配して仕切ることに集中してしまい、他人の発言や行動を恐怖に感じ、他の人物の考えたアイデアを聞き入れず、たとえそれが良いアイデアであっても活かせない傾向があったようです。
その一方、内向的なリーダーは、傾聴力に優れ、メンバーそれぞれの発言内容を冷静沈着に分析・判断し、チームにとって一番効率的で理にかなった方法を検討する傾向がありました。そうしたリーダーの姿勢がチーム全体へ伝わり、結果みんなのモチベーションを高めていたのです。
またビジネス面で、セールスパーソンを対象にした研究においても、外交的な人物よりも内向的な人物の方が、対人関係において良好な関係を形成する成果を得ることが明らかになりました。
この研究内容の詳細は、まず340人のセールスパーソンの性格テストを行い、「内向型」、「外向型」、両面の性質を持つ「内外両向型」の3タイプに分けました。「内外両向型」は内向型と外向型の両面を持つのではなく、ちょうど中間的な性質もったパーソナル特性としました。
そして、参加者の営業成績の追跡と記録を行った結果、3ヶ月後の成績は以下の通りになりました。
1位・・・内外両向型
2位・・・内向型
3位・・・外向型
内外両向型のセールスパーソンは、内向型の人よりも24%、外向型の人よりも32%も売上成績が高かったのです。
・多弁で押しの強い外向型な人物が疎ましく思われる理由
一般的なビジネスの場面において、セールスの現場では、積極的に売り込みをかける外交的な性格の方が好成績につながると考えられています。
しかし前述の研究においては、一般的な認識とは異なる結果になったわけです。
その原因として、
「1つ目の理由に、外交型セールスパーソンは、顧客の視点よりも自分の視点で物事の価値判断を行う傾向がある。もちろん商品を売り込むには、自己主張の強さや熱心さ等が必要ではあるが、それは顧客の価値観や興味の視点を無視した行動となってしまう恐れがあります。効果的な売り込みは、あくまでも顧客の興味と価値観に基づいて行われる必要があるといえます」
「2つ目の理由に、外交型セールスパーソンは、ともすれば自己中心的な価値観の押し付けによって、悪い印象を顧客に残す可能性が強くなります。セールストークを情熱的に語れば語るほど、顧客からは自信過剰で自己中心的な圧迫感のある売り込みと思われてしまいます」
総じて、押しの強すぎる売り込みは、ビジネスの場面において全くの逆効果になるということです。
このことは、普段の人間関係においても共通しています。
一見、雄弁多弁な外交的な人は、多くの人たちを惹きつけているように見えますが、実際は、「自分の話ばかりして、こちらの言っていることは聞いてくれない」と思われ、疎ましく思われているケースは少なくはないでしょう。
しかし、外交的な人は、周囲の反応に対して鈍感な面があるので、間違ったコミュニケーション方法を取り続けます。
その結果、自分から人が去っていっても、外交的な人はそれを気にせず、話を聞いてくれる新たな次なる人を作り、同じ行動を繰り返します。
まあ、それはそれでコミュニケーションの方法ではありますが、互いにプラスになる影響を与える関係とはいえないでしょう。
・内向的な人に不足している経験値は技術で補完できる
今ここで重要な事は、「外交的な人は悪い」「内向的な人には問題がある」といった視点ではなく、正しい技術(テクニック)を身につけることで、どちらの傾向の人も、内外両向型に近づくことが出来るという点です。
「人付き合いのテクニック」と言われたら、どこか「小手先のやり方で相手を騙すような気がする」と訝しがる人もいるかも知れません。
しかし、内向的な人は圧倒的にその経験値が不足しているので、こうしたテクニックを身につけるメリットが非常に大きいです。
私も経験済みの通った路なのでよく分かりますが、人脈作りや友達を増やすのに積極的になろうと決意したところで、まず何をしたら良いか、第一歩はどこに踏み出せばよいのかが分かりませんでした。
例えば、仲良くなりたい人が現れたとして、「こんにちは、はじめまして」の挨拶をした後、「はて、このあとの展開は?どうする?」となってしまうのです。
心の思いは、「お近づきになりたい」と、どれだけ熱望しても、会話と行動を以って示して行かなければ相手には伝わりません。
次の行動や言葉を探し、まごまごしているうちに、相手が戸惑い、気まずくなってしまったら、お互いの時間が無駄になって仲良くなるチャンスを逃してしまいます。
このようにテクニックを身に付けないままで、コミュニケーションを試みても、内向型な人ほど、人付き合いの苦手意識を益々高めることになり、負のスパイラルに陥ってしまいます。
そこで、このサイトでは、
・相手の心理を読む技術
・初対面でも心を開いてもらうキーフレーズ
・親密度が上がる連絡のやり方
・相手に好印象を与える会話の組み立て方
等、心理学や行動経済学に基づいたテクニックを紹介していきます。
テクニックを学ぶ事は決して人を騙したり、卑怯な事ではありません。
あなたが私と同じように内向型でコミュ障のタイプと自覚しているなら、現段階で不足している場数(経験値)をテクニックが補い、そして”コミュニケーションの現場”に出る上で大きな勇気を与えてくれるのです。